子どもたちと一緒に学んだ「てんとう虫の冒険」〜探究心を育む保育実践〜

戸外遊び

はじめに

保育の現場で子どもたちと一緒に育てる経験は、どれも特別なものです。特に、子どもたちが主体となり、興味を持って進めていく活動は大きな学びになります。昨年度、5歳児クラスで行った「てんとう虫の飼育」という探究活動を通して、子どもたちがどのように学び、成長したのかを紹介します。

子どもたちの「やってみたい!」から始まった探究活動

4月中旬、公園で見つけたてんとう虫の卵。子どもたちはそれを見つけた瞬間、「飼ってみたい!」と興奮気味に話し始めました。この時点で、子どもたちの探究心が芽生えたのです。私たち保育者は、どうやってその興味を広げていこうかと考えました。

絵本や図鑑で学ぶ「てんとう虫」の世界

まず、子どもたちが興味を深められるように、絵本や図鑑を使って調べていくことにしました。福音館の『わたしのちいさないきものえん』や『てんとうむしみつけた』、フレーベル館の『しぜん④てんとうむし』、小学館の『図鑑NEO昆虫』などを一緒に見ながら、てんとう虫の生活について学びました。

ここで私が心がけていたのは、正解を直接教えるのではなく、子どもたちの気づきに共感し、必要な情報を見つけるための質問をすることでした。例えば、子どもが「てんとう虫は幼虫もアブラムシを食べるんだって!」と言ったとき、私は「すごいね、よく見つけたね。それでアブラムシはどこにいるの?」と問いかけ、子どもたちが自分で調べ始めるきっかけを作りました。こうした過程を通じて、子どもたちは自分で情報を探す楽しさや達成感を感じ、自己肯定感を育んでいきました。

飼育環境を作り、てんとう虫の成長を見守る

てんとう虫の卵を持ち帰り、飼育環境を作りました。卵がついている枝や葉をペットボトルに入れ、水切りネットで包むことで、飛び出さないように工夫しました。孵化後は虫カゴに移し、アブラムシのついた植物を入れて栄養を与えることにしました。

興味深いのは、子どもたちが積極的に家庭で調べ、アブラムシがつきやすい植物をリストアップしてきたことです。「これが必要だよ!」と、子どもたちが自主的に行動する姿勢に驚きました。私たちはその植物を戸外で探し、ビニール袋に入れて持ち帰りました。こうして、てんとう虫の食事も調達していきました。

失敗から学ぶこと

活動が進む中で、予想外の出来事もありました。アブラムシが足りず、てんとう虫たちは共食いを始め、最終的に1匹だけが残ることに。その子は「ボス」と命名され、子どもたちはその後も「ボス」を大事に観察し続けました。

この出来事から、命の大切さや、自然界での生き物同士の関係を学ぶことができました。子どもたちは「お腹が空いてたのかな?」と共感し、ボスの行動に思いを馳せていました。このような感情移入が、子どもたちにとって貴重な学びになったことを感じました。

脱皮や蛹の変化にワクワク

また、脱皮や蛹になる瞬間を見つけた子どもたちは、いち早く教えてくれました。「こっち来て!」「虫眼鏡貸して!」と、順番に観察していた光景が印象的です。毎日観察する中で、「今日も元気そう!」と毎朝チェックすることで、子どもたちの成長への関心が深まっていきました。

おわりに

この活動を通して、子どもたちは「探究心」「自己表現」「共感」「命の大切さ」を学びました。何より、子どもたち自身が主体となって進めていく活動だからこそ、彼らの学びは深く、記憶に残るものとなったと感じます。

保育者としては、子どもたちが自分で考え、感じ、学べる場を提供することが何より大切だと再認識しました。これからも、子どもたちの「やってみたい!」を大切にしていきたいと思います。


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