前回の記事はこちら▽

〜力を合わせると、子どもも大人ももっと伸びる〜
子どもたちが何かを成し遂げる時、1人でできることは限られています。でも、仲間と力を合わせると、一人では思いつかないアイデアが生まれたり、もっと素敵なものができたりします。
「1+1=2」ではなく「1+1=3」にもなる。それが「相乗効果(シナジー)」の力です。これは、スティーブン・R・コヴィー著『7つの習慣』の第6の習慣「相乗効果を発揮する」に通じる考え方です。
今回は、保育の中でこの“シナジー”を感じた瞬間を、いくつかの実例とともにご紹介します。
【実例1】初めての行事を、チームで乗り越えた
園で初めて実施する行事を、私一人で担当することになったことがありました。通常の業務もある中、最初は「なんとか一人でやらなきゃ」と抱え込んでいましたが、思うように準備が進みません。
そんな中、周囲の先生たちが「プログラム作るよ」「装飾は任せて!」と手を差し伸べてくれたのです。それぞれの先生が、自分の得意な部分で支えてくれたおかげで、素敵な行事が完成しました。
「頼ることは甘えじゃない」
「助けてもらうことで、もっと良いものが作れる」
そんな学びをもらった出来事でした。
【実例2】得意分野を活かすペア担任
制作が得意な先生とペアを組んだ年、思い切って担当制にしてみました。私は音楽やリズム遊び、相手の先生は制作活動。
すると、子どもたちはその先生から、細かな技法や工夫をたくさん吸収し、私からは歌やリズムの楽しさを体験していました。それぞれが自分の得意分野で輝くことで、保育の幅がぐんと広がったのです。
【実例3】行き先会議で生まれた“みんなが嬉しい”散歩
5歳児クラスで、子どもたち自身に散歩の行き先を決めてもらう活動をしていました。最初は「○○公園がいい!」「△△がいい!」と意見が割れがちでしたが、「どうしてそこに行きたいの?」と問いかけると、それぞれに理由があることが分かりました。
「雲梯がしたい」「広いところで走りたい」
→「じゃあ両方できる○○公園は?」と提案が出て、全員が納得。
自分の意見だけでなく、相手の気持ちを知ることで「みんなが嬉しい選択肢」が生まれたのです。
【実例4】みんなで作った「お店屋さんごっこ」
こちらも5歳児クラスの話です。
お店屋さんごっこを計画する中で、子どもたちからたくさんのアイデアが飛び出しました。でも、すべてを実現するのは難しい…。そんな時、ある子が「ゲームをやったら折り紙がもらえるのは?」と2つのお店を合体させるアイデアを出してくれたのです。
そこから「食べ物系は全部まとめて“レストラン”にしよう」などと話し合いが進み、自然とチーム分けができました。
準備も子どもたち主導で進み、
・個数を管理する子
・周りに作り方を教える子
・スケジュールを管理する子
・装飾を率先して作る子
と、得意を活かして役割を分担していました。当日は、心のこもった素敵なお店が完成し、みんなが満足気な表情をしていたのが印象的でした。
「自分にはない力」と出会うことで、世界は広がる
子ども同士だけでなく、保育者同士でも同じです。
「自分ではできないことを、誰かが得意だった」
「誰かの苦手を、自分がフォローできた」
そんな場面がたくさんありました。違いを認め合い、助け合うことで、より豊かな保育が生まれていく。それこそが“シナジー”の力です。
「相乗効果を発揮する」とは、単に“協力する”という意味ではありません。
違いを尊重し合い、強みを掛け合わせることで、新しい価値を生み出すこと。
子どもも大人も、一人では出せなかった力を、誰かと一緒にだからこそ発揮できる。
その経験が、子どもたちの心を大きく育てていくのだと思います。
次回は、第7の習慣「刃を研ぐ」についてご紹介します。

🌱「あ、これって私にも必要かも」と思った方へ【PR】
『7つの習慣』の世界をのぞいてみませんか?
楽天で気軽にチェックできます✨
▽漫画版も読みやすくておすすめです【PR】
コメント